その他

忘れたら忘れたことさえ気が付かないんだよね

今日は少し悲しいお話です。
ある日の夕方、地面に転がってじたばたしている虫を見つけたんです。
まったくの平坦なセメントの上だったんですけど、なぜか逆さになって起き上がれなくなっていたのでした。それはセミの幼虫でした。
成虫はいたるところで鳴いていますし別段珍しいこともないのですが、抜け殻ではなく中身の詰まった状態はあまり目にすることはありません。
脱皮のために地中から出てくるのは夜中のようですし。
ほうと思って観察すると、地面から出たときに拭わなかったのか頭全体に土がついており、お前絶対見えてないだろう!状態でした。。

これでウロウロしているんです。気づけよ。

しかし考えてみると彼らは数年に及ぶ幼虫時代を地中で過ごすわけですから、前が見えなくても当たり前なのかも知れません。
土は完全に乾いていて、無理に取ると大事な部品も一緒に取れてしまう気がしたので、そのまま木につかまらせてあげました。
せっせと上を目指して登りだしたので一安心。
なんせその場所、昼間はこいつのテリトリーですから、見つかれば迷わずペロリだったでしょう。。

そうして次の日、あいつは抜け殻を残して旅立ったのかなーと何気なく見てみると、
そこにあったのは透明な抜け殻ではなく、これでした。

空を飛ぶことのリスク。
なんて小さな死なんだろう。
あの土を取ってやっていれば、こいつはきっと無事に飛び去っていたのでしょう。
知らず知らずのうちに影響しあう関係
「もし明日死ぬとしたら」
岐路に立ったときに使うものとして友人が教えてくれた言葉です。
ドジながらも登っていった幼虫君の姿は、まっすぐなものでした。


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