いよいよ今回で完成!
制作記録2回目の記事はこちら
精神統一して向かうのは一度進めば戻れぬ道よ!

それはつまりこの作業。ハンマーで打痕を付けながら地金を締めていきます。
こういう作業は迷いがあると造形に現れると思うのでリズミカルに、前だけを見て進みます!鑿の跡を残して仕上げた木彫りと同じですよね

ちなみにこの作業で難しいのは、叩くことで地金が伸びるので号数、厚み、幅が変わるということ。
過去にお作りさせていただいたリング制作ノートのデータから、どれくらい伸びるのかを見越して進めてきたのです。
問題なくリング二つとも次のステップに突入です。

ここでリング内側の形状を作っていきます。
指に馴染むように、長時間の着用で問題がないように、角を丸めていく。

内側の面には刻印を入れるのでその前処理をしています。
細かいヤスリで整えた後、ヘラという道具で強く擦り、表面の硬さを上げておきます。
最終的にはこの部分も研磨するのですが、刻印を入れた場所は後で強くヘラがけ出来なくなるのでこのタイミング。

刻印を入れます。
ウケンムケンでは通常、刻印は手打ちのツールを使用しています。
PT900の場合、「P」「T」「9」「0」「0」と一文字ずつ打ち込んでいくのです。
ですので結果的に文字の位置が上下にズレがあったり、斜めだったりするのですが、このわずかなズレがどことなく優しい感じ、を生み出すのだと考えています。

さあ完成まであと少しです!
ぼやけていますが刻印も無事に入れ終わり、内側の研磨を待つ二人…的な絵です。
あ、研磨の様子は撮影を忘れていました、、研磨剤にまみれている感じで想像してくださいね!
研磨して、仕上がった段階で狙った寸法になっている必要があります。

いよいよ最終工程に近づいてきました!
今回は細かめのヘアライン加工で少しマットな仕上げとなります。
使用しているペン型のツールの他に二種類の道具を使って表面の印象を作ります。
立体視できる双眼顕微鏡で確認しながら、指当たりの磨かれた面とのギリギリを攻めていきます。
そうして…ようやく…完成です!

手仕事の痕跡を残したスタンダードなかたちですが、シンプルな中にも引き際の美学といいましょうか、どこで止めるか問題のようなものがあり、そこにこそ作り手のセンスが現れるのだと考えています。

今回はご要望により内側の刻印についてもシンプルに。
レディースのリングは小さい文字で刻印してあります。

このような一生の記念の品を作らせていただき光栄です。
お二人の幸せがずっと続きますように!
ご注文ありがとうございました!!